kinakoの便所の落書き

飛行機、旅行、モバイルの話が中心。飛行機やホテルはあくまで手段であって目的ではないというスタンスで旅行したいんだけどコロナのせいでめちゃくちゃ。2~4日に1回のペースで更新(体調不良のため更新滞ることあり)。記事の中身は記載時点での情報です。JL-JMXと Marriott-Gold, accor-Silver,IHG-DIAAMB, Hyatt-Discoverist。訪問国数:23ヶ国25地域

ハワイアン航空とJALの提携の話

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あんま時事的なネタはぼくのアホさがわかってしまうので書きたくないんだけど、これについてはとてもおもしろかったので書いてみる。


「JALハワイ線の新たなスタート」と植木社長。ハワイアン航空と包括的業務提携契約に合意 JALの“おもてなし”とハワイアン航空の“ホオキパ”でより快適な空の旅に - トラベル Watch

この件ですね。

 

 

 

ハワイアン航空はANAとのコードシェアを切ってまでJALと提携をする理由とは?

 色々考えてみる。

ハワイアン航空側から提案された提携

本題に入る前に、まずはこちらの記事。

 
JAL・ハワイアン大型連合、「打倒ANA」の勝算 | エアライン・航空機 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

提携の内容を要約すると、

  • 来期夏ダイヤ(3月25日)から日本ハワイ間全便でコードシェア
  • また、日本ハワイ間に接続する日本国内線、ハワイ内路線も互いにコードシェア、アジア線も
  • それに伴いANAとのコードシェアは終了
  • ATI除外申請、ジョイントベンチャーを検討
  • ラウンジも共有化、ハワイアン航空は成田のターミナル変更(2タミへ)
  • マイレージも今後提携
  • JALパックでハワイアン航空利用ツアーを販売

 

なんと、この件は「ハワイアン航空側から提案された」もの。しかも、ハワイアン航空は当初から日本航空と組みたかったが、経営破綻の影響で組めず…といういきさつだそうな。

 

さらに、ジョイントベンチャー(JV)を前提としたATI(反トラスト法、日本で言う独占禁止法)除外申請も数ヶ月以内に行うということになっており、「これANAとの提携中からずっと深い話してましたよね?」という感じ。

ダンカリーCEOによれば、2015年12月に「同じ方向性だということを認識」し、JVを前提とした提携交渉が始まったという。

 これはなかなか味わい深い。

 

 ANAのハワイ線の現状

 

さて、現在のANAのホノルル線と言えば…

  • 成田ホノルル
  • 成田ホノルル
  • 羽田ホノルル

のみ。さらに、コードシェアしているのは羽田ホノルル間のみという意味が分からない状態。

対して、ハワイアン航空は

  • 成田ホノルル
  • 羽田ホノルル
  • 羽田ホノルル(週3)/コナ(週4)
  • 関西ホノルル
  • 新千歳ホノルル(週3)

という状態。なおこちらの便にはANA便名は乗っておらず、ホノルル以遠の路線のみのコードシェア。

 

つまり、ANAが一方的にハワイアン航空を利用しているような状態。

なんのために提携してんの

 

さらに特典航空券の設定も日本ハワイ間では設定が無いという。??????

 

 JALのハワイ線は便数がすさまじい

 

で、JALのハワイ線といえば…

  • 成田ホノルル
  • 成田ホノルル
  • 成田ホノルル
  • 成田ホノルル
  • 成田コナ
  • 中部ホノルル
  • 関西ホノルル

というわけで、1日7便(さらに臨時便もよく飛ぶ)。

成田コナ、中部ホノルルに関してはハワイアン航空は飛ばしておらず、逆にハワイアン航空の羽田ホノルル/コナ、新千歳ホノルルはJALは飛ばしていない路線。つまり相互にメリットがあるわけで、そりゃ組む相手としてはJALの方がいいよな…という感じ。

 

ユナイテッドとの関係

ではなぜANAとハワイアンの提携がいまいちか?という理由はハワイアン航空社長の発言中に答えがあった。

 
ハワイアン航空、ANAからJALに「転向」 「提携先」争奪戦が激化 : J-CASTニュース

「ANAとUAは共同事業を行っており、彼らは協力関係にある。ハワイアン航空は思ったほど(ANAと)近づけなかった」
「JALと提携、望ましくは共同事業を行うことで、ANAとUAという強力な組み合わせと対等に競争していけるようになる」

ユナイテッドは日米間でANAとジョイントベンチャー(JV)を組んでおり、単なるアライアンスの枠組みを越えた深い関係となっている。そのため、ハワイアンが入ってきてもどうこうできる話じゃない模様。

そのためこんな中途半端な提携になってしまった、ということのようで。

 

JALとAAのJVは?

さて、ここで気になるのはJALにはAAというJVのパートナーがいる。これはどうなるの?という話。

これはAAがハワイ路線を持っていないということもあり、あまり問題にならない模様。…って解説されてるけど、そういう問題なのかなぁ…?

 

どちらかといえば日米間の本数ではNH/UAに負けているから、HAをJL/AAの枠組みに入れて、シェアを伸ばしたいというのがあるのでは?と思った。JVについては米国-アジア間で行われるのか、それともハワイ-アジア間限定になるのかは不明だけど、すでにある枠組みに入ってくる方が自然な気はする。

 

 A380という脅威

さらにこんな発言も。

全日空とは「戦略が違った方向に進み始めた」

これはおそらくA380のことではないかと思われる。そりゃ大して関係が深くない相手が、自陣に物量作戦を仕掛けてきて、ダンピングまがいの売り方をするのが目に見えている(ANAは特典航空券の供給を増やすと発言している)とくれば、そりゃ気分はよくないでしょう。 

JAL的にもホノルルの供給を増やすよりも差別化が必要であるため、提携相手を見つけて行き先が増えるのはありがたいことだと思われる(そもそもハワイ線に限れば、ANAは完全にハブアンドスポーク…というよりハブトゥハブ?JALはポイントトゥポイントの戦略、コナ線を再開したのもA380対策でしょう)。

 JALの植木社長、ハワイアンの社長ともに「方向性が同じ」であることを強調しているけど、明言してること以外にこの辺も要因としてあるんじゃないかと思う。

 

 

ハワイアン航空とJALはもともと相性が良かった

というわけで、ハワイに限ればポイントトゥポイントの戦略のJALと、日本線ではポイントトゥポイント(ホノルル、コナ両方飛んでる)のハワイアン航空はある意味相性が良く、くっつくのも自然に見える。そりゃ互いにメリットがあるからね。

で、さらに互いに接続する国内線やアジア線についてもコードシェアをするみたい。

 

 泣きっ面に蜂?のANA

さてスカイマークの件でA380を買う羽目になったANA。提携相手には振られ、さらにホノルルから先の路線を失うことになるのか?というとこれは微妙な感じがする。というのも荷物や旅客のスルーチェックイン等のサービスはまた別の「インターライン提携」によるものだから(メキシコシティ線なんかはアエロメヒコとのインターライン提携を売りにしてたりする)。

インターライン提携はあまり関係が深くない会社同士でもわりとあり、これが切られない限りは利便性が大きく落ちるということにはならないと思われる。逆に言えばその程度の提携だったということだけど。

ただ、ホノルルに大量に客を送り込んでもその後はどうするのか?というのはあるけどね。どうすんだろ。

 

 

 まとめ

というわけで、何で提携すんの?って話は

  • 戦略的にJALとハワイアンは同じ方向を向いている(ポイントトゥポイント、定時性、マインドetc)
  • ↑に関連し、より多くの目的地を提供できる
  • A380が邪魔
  • 提携相手のUAとAAの違い

というところになるのではと思う。

あと、ハワイアンがワンワールドに!?なんてことも囁かれてるけど、それは可能性としてはなくはないけど、現状では考えにくい気がする(路線網や規模の問題)。

 

まあ、ANAユーザー的には結構不便に、JALユーザーには多少便利に、ハワイアンユーザーには劇的に便利になるのでは、という感じがする。