ヘルシンキ線を比較してみるよ。もちろんどっちも乗ってる。 なお、フィンエアーに関してはA350のことしかわかりません(まあ比較の話題にする成田線はA350だし)。
成田-ヘルシンキ線の日本航空(JL)とフィンエアー(AY)を比較
成田ヘルシンキ線(NRT-HEL)には現在2社が就航しており、JALが1日1便(JL413/414)、フィンエアーが1日1~2便飛ばしている(曜日、季節による)。
なおどちらも航空アライアンス「ワンワールド」のメンバーであるほか、JL/AY/BA/IBは日欧間でジョイントベンチャー(JV、共同事業)という仕組みで提携しており、2社はライバル関係ではなくかなり深い提携関係を結んでいる。
とはいえ客にとっては機内の仕様や細かいことが異なるわけで、どういうかんじか?というのをまとめてみたよ。
JAL(日本航空)のヘルシンキ線の概要
- 成田発着
- エコノミーは全席33インチ「SKYWIDER」仕様
- プレミアムエコノミークラスあり
- ビジネスクラスは全席通路アクセスの「SKYSUITE」
- 機内Wi-Fi
JL413 NRT 11:30-15:00 NRT
JL414 HEL17:25-10:00(+1)NRT
フィンエアーの日本-ヘルシンキ線
- 成田、中部、関西、福岡、新千歳発着
- エコノミーは31インチ
- +40~140ユーロで「エコノミーコンフォート」利用可能(シートピッチ35インチ)
- プレミアムエコノミーなし(2021年以降導入予定)
- ビジネスクラスは全席通路アクセス
- 機内Wi-Fi
成田線は
AY74 NRT 11:55-15:10 HEL
AY73 HEL 17:25-10:00(+1)NRT
AY72 NRT 11:30-14:15 HEL
AY71 HEL 16:35-09:05 (+1)NRT
(冬ダイヤ。夏ダイヤは時間が変わる)
概要としてはこんなかんじ。
ヘルシンキ/成田での上級会員向けサービス
ワンワールドサファイア/エメラルドのステータスがある場合、成田、ヘルシンキどちらでもそれぞれ優先サービスを受けることができる。
JL/AY共通の上級会員向けサービス
- 優先搭乗
- 優先チェックイン
- 成田国際空港第2ターミナルでのファストトラック(優先保安検査)
- ヘルシンキ・ヴァンター国際空港でのプライオリティセキュリティ(出発ロビーから制限エリアへ入る場合)
- 成田国際空港でのワンワールド各社ラウンジ(サクラ/JALファーストクラスラウンジは改装期間は利用制限中)
- ヘルシンキ・ヴァンター国際空港でのフィンエアーラウンジ/プレミアムラウンジ(どちらも2019/05までJL414では利用不可)
JL便利用時に受けられる上級会員向けサービス
- 成田国際空港第2ターミナルのサクララウンジ(サファイア)/ファーストクラスラウンジ(エメラルド)
- 成田国際空港第2ターミナルのJALファストセキュリティーレーン(JAL上級会員のみ、他社上級は別途ファストトラックあり)
- ヘルシンキ・ヴァンター国際空港でのご利用券配布(ラウンジ改装終了まで)
- JAL上級会員はボーナスマイル付与(フィンエアーをAY便名で利用の場合ボーナスマイル積算されない、JL便名で予約すれば付与される)
AY便利用時に受けられる上級会員向けサービス
- エコノミーコンフォートの事前座席指定(エメラルド)
- エコノミーの事前座席指定(サファイア)
- ヘルシンキ・ヴァンター国際空港のラウンジサービス(改装終了まで)
とまあこんなかんじ。共同事業でサービスはほぼ統一されてるけど、微妙な違いはある。現状でとても大きいのは「ラウンジ利用可否」(改装終われば関係なくなるけど)と、「エコノミーコンフォートの存在」あたり。
エコノミークラスの比較
エコノミークラスの座席の快適性としてはJALの方が上。
シートピッチが広いほか、シートポケットやテーブルが細かい調節ができ、気が利いている。
また、ヘルシンキ線で使われている787に関しては座席幅がとても広いのも良いところ(787のシート配列は普通は3-3-3だがJALは2-4-2と1列少ない分、座席が広い)。
フィンエアーは座席が狭いほか、リクライニング角度が結構なところまで倒れるため、前の人が座席を倒すと大変なことになる。
エコノミーコンフォートのリクライニング角度はこの程度。通常のエコノミーで前の人にこれだけ倒されるとキツい。
機内サービスとしてはフィンエアーの方が優れている。フィンエアーにはスパークリングワインの選択肢があるほか、有料のミールサービス「SKY BISTRO」で別途注文することができる。また、地味に気が利いているのは個人用画面でメニューの確認ができるところ。
何があるかを画面上で確認できるのは嬉しいところ。IFEの使い勝手も優れている…が、個人的には暇つぶし用のゲームがないのは不満(JALはソリティアや麻雀がある)。
フィンエアーのエコノミーコンフォート
フィンエアーの場合は40~140EURの追加料金(もしくはワンワールドエメラルドステータス)でエコノミーコンフォートが利用可能。エコノミーコンフォートでは歯ブラシや耳栓といったアメニティキット(ポーチはマリメッコ)、35インチのシートピッチ、優先搭乗といったオプションを格安で追加することができる。
なお価格はぼくのときは90EURになっていた。
エコノミーコンフォートのシートピッチはJALのエコノミーよりさらに広く、快適。ステータス持ちの場合フィンエアーの方が快適に過ごせる。また、地味にうれしいのが機内Wi-Fiが1時間無料。JALだとプレミアムエコノミーどころかビジネスでも有料なので、これは嬉しい。
エコノミーコンフォートのアメニティキット。ただしクオリティは低い。
JALのプレミアムエコノミークラス
JALのプレミアムエコノミーはシェル型のシートで前の人がリクライニングしても倒れてこないのが魅力。また、シャンパンが提供される。あとスリッパもある。
地上サービスとしては優先搭乗(2019/9/2より)、優先チェックイン、ラウンジ利用が可能(ラウンジは当日アップグレードの場合不可)。
シートピッチは広々としている。
こちらは当日アップグレードには4万円or330ユーロか必要で気軽な値段ではない。
エコノミークラスはフィンエアー+エコノミーコンフォートが最適?
まとめるとこんなかんじっすね。
JL Y | AY Y | AY コンフォート | JL PY | |
---|---|---|---|---|
シートピッチ(inch) | 33 | 31 | 35 | 38 |
座席配置 | 2-4-2 | 3-3-3 | 3-3-3 | 2-3-2 |
電源 | AC+USB | USBのみ | USBのみ | AC+USB |
Wi-Fi | 有料 | 有料 | 1h無料 | 有料 |
有料機内食 | × | ○ | ○ | × |
ラウンジ利用 | × | × | × | ○ |
優先チェックイン | × | × | × | ○ |
優先搭乗 | × | × | ○ | ○※ |
専用アメニティ | × | × | ○ | ○ |
当日アップグレード | - | - | 40~140EUR | 40000円 |
※:2019/9/2から
上記を考えると、フィンエアーのエコノミークラスで購入し、エコノミーコンフォートを利用するのが最も安く快適であると、ぼくは考えている。特に無料で利用できるワンワールドエメラルドの場合。
ビジネスクラスの比較
ビジネスクラスの座席は以下の通り。
JALのビジネスクラス(NRT-HEL JL413 / JL414)
成田ヘルシンキ線では787-9「SKYSUITE787(SS9)」が毎日運航中。この機材のビジネスクラスはJAL最高のビジネスクラス「SKYSUITE」が投入されている。
JALのビジネスクラス「SKYSUITE」は充分に広い座席幅にエアウィーヴのマットレスで寝心地はとても良い。窓側席を利用すると収納スペースが少ないのがちょっと気になるかもしれないが、置く場所が全くないというほどでもない。
年に数日、ビジネスクラスが「SKYSUITEⅢ」仕様になることがあるが、この場合はSKYSUITEよりだいぶ寝心地等が落ちるため注意。
食事はアラカルトの選択肢がとても多いのが特徴。
機内食はここで見れるよ。
フィンエアーのビジネスクラス
フィンエアーのビジネスクラスはA350のものを利用した。
フィンエアーはヘリンボーンタイプのビジネスクラス。
マットレスはなく、また座席形状的にフラットではない(座席自体はフルフラットになるが、背中に掘りが入ったシート形状)ため、寝にくい。また、足先が狭くさらに画面や前の座席が干渉するため寝返りをうつことが難しい。
食事は選択肢が多いとはいえないが、アルコールメニューはフィンランドらしさが感じられるメニューとなっている。
JALと比べると選択肢は少なめ。
ビジネスクラスはJALが優位
書かなかったこととかも合わせてまとめると↓の通り。
JL C | AY C | |
---|---|---|
全席通路アクセス | ○ | ○ |
電源 | ○ | ○ |
Wi-Fi | 有料 | 1h無料 |
マットレス | ○ | × |
ラウンジ利用 | ○ | ○ |
優先チェックイン | ○ | ○ |
優先搭乗 | ○※ | ○ |
現金によるアップグレード | × | ○ |
※:JALは最優先搭乗が別途あり、ステータスなしorサファイア以下のビジネスクラスは対象外
両方とも利用してみた感想としては、正直言ってJALの勝ちだなと思った。寝心地、食事の質、座席の使い勝手どれをとってもJALの方が優れている(アルコールはフィンエアーにも面白い選択肢がある)。特に足元の広さが段違いで、フィンエアーのビジネスは足を拘束されている感がある。
JALの方は難点としては窓側席の場合収納スペースが狭いということくらいしか見あたらず、お金を払ってビジネスクラス利用であればJALの方が良いかな、という印象。
ただ、フィンエアーの場合エコノミーから有償で事前アップグレードするオプションもあるため、それを狙ってフィンエアーのエコノミーを買うのもアリだと思った。
まとめ
というわけで、エコノミークラスを利用するならエコノミーコンフォートがあるフィンエアー(ただし別途料金必要)、ビジネスクラスならJAL、という具合かな。ただし、これはあくまでも出発地が東京の場合であり、フィンエアーの就航都市からであればフィンエアーのビジネスクラスを選ぶ価値は十分にある。また、接客の仕方や客層の違いもあるので、自分に合った方を選ぶのがいいかなとは思う。
僕の場合はどちらも楽しめたし、どちらも良さがあっていいなと思った。ヘルシンキは乗り継ぎが楽だし、どちらも積極的に利用していきたいし、どっちもいい会社なので、どちらのエコノミー、ビジネスも使っていきたいところ。